教えて!ニックスのコーナーです。
前回は「パルプモールド」についてカンタンにご紹介させていただきました。
今回はパルプモールドの製造原理やDRY・WET製法の種類についてご紹介させていただきます。
パルプモールドの作り方
ここでは、パルプモールドの製造原理や工程についてカンタンにご紹介いたします。
①パルパーと呼ばれるタンクで原料のパルプ(主に段ボールや新聞紙などの古紙)を水に溶かし繊維にします。⁽¹⁾
②パルプと水の混合液に抄造型⁽²⁾を沈めます。混合液を吸引することによって抄造型にパルプが積層され立体的な形状をつくります。
③乾燥させるとパルプモールドの完成です。⁽³⁾
⁽²⁾抄造型には水と空気を吸引するための吸引孔があります
⁽³⁾乾燥工程ののちトリミングを行うケースもあります。
DRY/WET製法
パルプモールドには大きく分けて、「DRY(ドライ)製法」と「WET(ウェット)製法」の2種類があります。卵のパックや家電の緩衝材の、ゴツゴツとした表面がDRY製法の特長です。
一方、WET製法は特殊な乾燥手法により、滑らかな表面を成形することができます。表面の粗さのほか、成形時間や価格に差異がある為、用途や物量によって製法を選択します。
DRY
原料を金型で漉きあげて形成した後、そのまま乾燥させて完成です。その後にプレスを施すことによって厚みや強度を調整したり、表面を整えることもあります。
近年はプレス加工の技術が進歩し、DRY製法でありながらWET製法による質感のような美粧性が高い製品も上市されています。比較的安価で、成形時間も短いことから、大量生産に適しています。
主な用途:緩衝材、卵パック、青果トレーなど
WET
原料を金型で漉きあげて形成した後、熱でプレスを施すことによって強制的に乾燥させます。強制的に乾燥させることによって、濡れたシャツにアイロン掛けをするとシワが伸びるように、表面が滑らかに仕上がります。特殊な設備を必要とするため、国内では生産できる工場が限られています。成形時間も長いため、DRY製法と比較すると価格が高くなることが一般的です。
主な用途:化粧品パッケージ、スマホパッケージ、スピーカーコーン
加工
DRY製法におけるプレス以外にも、さまざまな加工を施すことがあります。
パルプモールドは製品が複数個に連なった状態で成形されることも多く、トリミングをすることによって、製品の分離や不要部分の除去を行います。
このトリミングは、水中の原料を金型で漉きあげるという単純な成形原理ゆえの寸法精度の低さを矯正する役割も担っています。
またパルプモールドは加飾によって、デザインや用途の幅を広げることもできます。
卵パックや緩衝材の印象から茶色や白色の製品をイメージされがちですが、原料に染料や顔料を添加することによって着色にも対応しています。
近年、色彩豊かなパルプモールドが化粧品パッケージなどに採用され始めています。