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教えて!ニックスのコーナーです。
これまでパルプモールドの概要や製造方法について説明してきました。
今回は古くから身の回りで使われていたパルプモールド製品や最近のトレンドについて説明します。
意外なパルプモールド製品
現在では卵のパックや家電の緩衝材としての印象が強いパルプモールドですが、古くから意外なところにも利用されてきました。
その1つ目が、江戸時代に疫病退散の願掛けを目的として誕生した「だるま」です。
現在は伝統工芸品としても親しまれるだるまは、紙を原料としてきました。
昔は職人が手貼りしていましたが、現在は水に溶かした紙を型で漉き込むという、まさにパルプモールドの製法で立体のだるまを形作っています。
※諸説あり
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2つ目は、「スピーカーコーン」です。
スピーカーの音が出る部分には、振動板が設置されています。
スピーカー内部から出力される音を、外部へと伝達するために不可欠なもので、その多くが円錐型(=コーン型)をしています。
金属やプラスチックの製品もありますが、軽量で加工がしやすいことに加えて、素材として固有の音を発しにくいという理由でパルプモールドなどの紙材質が選択されています。
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パルプモールドのトレンド
近年パルプモールドは様々な製品として利用されています。
ここでは育苗ポットと食器・カトラリーについて紹介いたします。
育苗ポット
育苗ポットは、植物を種から苗に育てるために用いられ、一定の大きさになった苗は花壇や畑に植え替えられます。
黒色の軟らかいプラスチック素材の育苗ポットをイメージする人も多いと思いますが、最近では新聞紙や段ボールなどの古紙を原料とするパルプモールド素材の育苗ポットも増えています。
紙は土中で分解されるため、植え替え時にポットから取り出す必要がなく、成長した植物の根を傷つける心配もありません。
また、プラスチックの育苗ポットと比較して、ポット内部の温度が低くなることから、花芽の分化や果実の収穫時期を早めることも分かっています。
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食器・カトラリー
パルプモールドは金型を用いた成形であるため、通常の紙皿や紙コップのような丸形だけでなく、陶器のような異形や、切子ガラスのようなデザインも表現することが可能です。
最近ではホテルやイベント会場などで高級感や限定色といった付加価値のあるパルプモールド食器が採用され始めています。
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近年環境配慮素材としてパルプモールドは再注目されていますが、実はパルプモールドは古くからある技術であり、身近な製品に使われていたことを紹介いたしました。
今後も環境意識の高まりとともに私たちの身の回りでパルプモールド製品が増えていくことが予想されています。
ニックスでは今後もパルプモールドの動向を注視し、引き続き情報発信していきたいと考えています。
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教えて!ニックス
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