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皆さんは「プラスチックマグネット」という物をご存知でしょうか?
実は身の回りの製品の見えないところにたくさん使われているのですが、今回はこの「プラスチックマグネット」についてご紹介したいと思います。
プラスチックマグネットとは?
プラスチックマグネットとは、ボンド磁石とも呼ばれ、磁性粉(フェライト等)にナイロン系樹脂を混ぜて射出成形したマグネットです。
用途としては、自動車やスマートフォン、空調、冷蔵庫などといった様々な製品のセンサーやモーター部品として使用されており、「プラマグ」と呼ばれる事が多いです。
主なマグネットの種類と特徴
マグネットには主に焼結マグネット、ゴムマグネット、プラスチックマグネット等があります。
焼結マグネットは酸化鉄を焼き固め、圧縮して成形し、その後に切削や研磨加工を行います。
3種類の中で一番固く、磁気特性に優れているためMRIや発電機など比較的大きなものに用いられています。
ゴムマグネットは磁性粉を合成ゴムに混ぜ合わせて成形した磁石です。
磁力は3種類の中で最も弱い反面、柔軟性に優れており、身近な物では冷蔵庫のパッキンや初心者マークに使用されています。
プラスチックマグネットは前述の通り磁性粉をナイロン系樹脂と混ぜて射出成形した磁石です。
量産性が高く成形性に優れており、小型で複雑な形状の製品に適しています。
また、その他の特徴として金属部品等と一緒に成形(インサート成形)ができる、磁気回路設計の自由度が高いといった点も挙げられます。
プラスチックマグネットを含むこれら3種類を比較すると、焼結マグネット、プラスチックマグネット、ゴムマグネットの順に磁力は弱くなります。
焼結マグネット
プラスチックマグネット
ゴムマグネット
磁力の向き
プラスチックマグネットは、磁石材料を成形した段階では磁気を帯びているわけではなく、外部から強い磁界を与えることで磁石としての性能を発揮できるようになります。これを着磁と言います。
磁石に釘を擦り付けることで磁石のようになるのも同じ仕組みです。
マグネットは磁石粒子中の結晶の向き(着磁方向)によって等方性と異方性の2種類に分類されます。
通常、磁性粉に樹脂を混合して成形を行うと結晶の向きはバラバラになっています。
これを等方性プラマグと呼び、どの方向から着磁しても全方向に対して同じ磁気特性を有します。
一方、成形時に金型に電流を流すことで結晶の向きを揃えてつくるプラスチックマグネットを異方性プラマグといいます。
結晶が一定方向を向くため、等方性プラマグよりも強い磁力を得ることができます。
金型で磁気回路を形成することで、用途に合わせた様々な着磁を実現することが可能です。