プラスチック製品のモノマテリアル化|教えて!ニックス 第23回

2024年8月8日

環境問題に対して近年行われている取り組みってどんなこと?

教えて!ニックスのコーナーです。
皆さんはプラスチック使用製品の「モノマテリアル化」についてご存知でしょうか?
環境問題に対する様々な取り組みが進む中、近年環境に配慮した製品設計が求められています。
今回はその中でもモノマテリアルについてプラスチック資源循環法とあわせてご紹介いたします。

プラスチック資源循環法

プラスチック資源循環法とは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の略称です。
2022年4月1日から施行となっており、プラスチックの資源循環に向けてプラスチック製品の製造事業者や自治体が取り組むべき事項・配慮するべき事項を定めたものになっています。
本法に則り企業が様々な取組みを行うことで、消費者の皆さんの生活にも影響があったのではないでしょうか。

生活への影響例

  • レジ袋の有料化
  • テイクアウト用プラスチック製カトラリー類の廃止や木製化
  • ホテルの客室内のアメニティの提供方法の変更
     客室から撤去し、ロビーにてアメニティコーナーを設置
  • クリーニング店でのハンガー回収

木製カトラリー

詳細は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」特設サイトをご覧ください。(環境省)

パッケージ包材のモノマテリアル化

プラスチック資源循環法では製造事業者に対して、サステナブルマテリアルを提供することの重要性を示しています。今回ご紹介するモノマテリアルはサステナブルマテリアルのうちの一つです。
モノマテリアルとは、「単一の(mono)素材・原料(material)」という意味であり、プラスチック製品としてのモノマテリアルは製品が単一の原料や素材で作られていることを指します。

複数の素材でできた製品はマルチマテリアルといいます。

例えば、従来の食品用のパッケージは内容物に合わせ、遮光性・酸素バリア性・耐ピンホール性等を高める素材や、開封性を向上させる目的の素材など複数の素材を組み合わせて設計されています。
内容物に合わせ、最適な素材で設計することで、食品の品質保持や賞味期限の延長、開けやすさの向上など様々なメリットがある反面、廃棄時に素材ごとに分離することが困難であり、リサイクルが難しいとされています。
しかし、モノマテリアル化したパッケージは単一素材でできているため、分離工程が不要となりリサイクルが容易になります。
また、素材の混合を防ぐことでリサイクル品としての品質を向上させることができます。

■マルチマテリアル パッケージ構造

  ■モノマテリアル パッケージ構造

フィルム構造

モノマテリアル化 取り組み事例

  • ペットボトルのラベル
     ボトルと同質素材を使用したラベル
  • 使い切りのシャンプー・トリートメント包装
     アルミ素材を含む構成からPET素材のみに変更
  • 食品スタンドパウチ
     アルミ箔を使った複合フィルムからポリプロピレン素材のパッケージへ

食品スタンドパウチ

必要とされるモノづくり

環境に配慮したモノマテリアル化ですが、課題も多いのが実情です。
従来のマルチマテリアル包材では各素材の特性を活かして作られていましたが、それらの機能を損なわないモノマテリアル包材を開発するのは困難であり、技術の向上が必要となっています。
また再生プラスチックを食品包装に利用する場合、食品衛生上の安全性を十分に確保する必要があり、事業者は安全性を証明するための試験結果や品質管理に関する情報を提出しなければなりません。
食品包装においては、食品に接触しないフィルム層や二次包装に使用するケースも多く、再生材のみで構成された食品パッケージの導入はあまり進んでいないのが現状です。

モノマテリアル化の実現により、今後のプラスチックの資源循環の促進につながることが期待されています。
今回は環境配慮設計のモノマテリアルについてのご紹介でした。

ありがとうございました!

教えて!ニックス

次回もお楽しみに!

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