高機能樹脂 COCのご紹介|教えて!ニックス 第26回

2024年11月8日

近年注目されている、高機能樹脂について教えてください!

皆さんこんにちは。教えて!ニックスのコーナーです。
今回は高機能な樹脂「COC」についてのご紹介です。
あまり聞き慣れない樹脂ですが、身近なところではスマートフォンのレンズなどで使用されています。
近年少しずつCOC樹脂を使った製品設計のご相談も増えてきているため、ご紹介します。

樹脂

COC:環状オレフィン共重合体

COC樹脂は環状オレフィンとαオレフィンの共重合体であり、非結晶樹脂でありながら結晶性樹脂の特長を併せ持ちます。
また、上記に加え高いガスバリア性・防湿性、レンズ性能(高透過率・高屈折率・低複屈折)を有しており、様々な分野での需要が見込まれる素材です。

結晶性樹脂
PP・PE・PET・ナイロン・POM・PBT・PEEK等
非結晶性樹脂
アクリル・塩ビ・PS・ABS・PC等
COC樹脂
耐薬品性
耐熱性
寸法特性
<成形後の収縮率>
1.0~4.0%

・収縮率が大きく寸法精度は低い

<成形後の収縮率>
0.2~0.7%

・収縮率が小さく寸法精度は高い

<成形後の収縮率>
0.2~0.7%

・収縮率が小さく寸法精度は高い

透明性
不透明
アクリル、PS、PC等種類によっては透明性が良好


非結晶性樹脂:アクリル・塩ビ・PS・ABS・PC等
加熱によって溶融した樹脂が一定の温度まで低下した際、分子同士が不規則に(結晶部分を持たずに)固化する樹脂。
結晶部分が無いため、光の屈折率が一定で透明性の高い樹脂が多い。

結晶性樹脂:PP・PE・PET・ナイロン等
加熱によって溶融した樹脂が一定の温度まで低下した際、分子が規則的に並んだ結晶部分を持って固化する樹脂。結晶部分は冷却時の収縮が大きくその影響で寸法精度は低い。
また、結晶部分を含むため光の屈折によって透明度は低い。
一方で結晶部分に薬品が入りづらく耐薬品性に優れた樹脂が多い。

主な用途

1.医療

オートクレーブ、γ線滅菌、EOG滅菌が可能であり医療分野における使用用途は非常に多い。
また非吸着性、耐薬品性、防湿性を活かしPTP包装や検査用容器、分析用セルなどの素材として採用。

2.光学部品

高透過率と合わせ高屈折率、低複屈折の特性からスマートフォン等の光学レンズや様々な光学部品に適す。
また耐熱性の高さから車載用のカメラレンズなどでも使用が広がる。

PTP包装
PTP包装
実験・検査
実験・検査用の容器
レンズ
レンズ

今回紹介のCOC樹脂の価格は一般的な樹脂(汎用樹脂³⁾)の10倍以上であり、非常に高価な樹脂と言えます。
また、前述の通り透明でありながら耐薬品性や耐熱性、防湿性等を求める分野での採用例が多く、今後も需要が伸びると予想されています。

³⁾汎用樹脂:PP・PE・PS・ABS・アクリル・塩ビ
汎用樹脂についてはプラスチックの種類①|教えて!ニックス第7回もご覧ください

今回は高機能樹脂COCのご紹介でした。

ありがとうございました!

教えて!ニックス

次回もお楽しみに!

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