プラスチックの歴史(後編)|教えて!ニックス 第3回

2022年10月8日


プラスチックに切り替わったもの

教えて!ニックスのコーナーです。
前回はプラスチックの起源や語源を中心にプラスチックの歴史について説明しました。(前回の記事はこちら
今回は、従来より利用していた素材からプラスチックに切り替わった理由を事例を交えて紹介します。

事例1 ストロー

麦わらストロー
麦わらストロー

プラスチックストロー
プラスチック製ストロー

麦わらの茎の中は空洞であることから、昔は麦わらをストローとして使用していました。しかし、長さのばらつきや割れ、裂けなど天然素材ゆえの課題もありました。
このような課題を改良したのが紙製のストローです。たばこ用巻紙の製造会社を経営していたアメリカのマービン・ストーンが鉛筆に長細い紙を巻き付け、糊で貼り合わせて紙製のストローの開発に成功しました。マービン・ストーンは1888年に特許を取得し、自社工場で本格的な生産に乗り出しました。
長期にわたり、紙製のストローが人々に利用されていましたが、第二次世界大戦以降はプラスチック製のストローに切り替わることとなります。これは紙に比べて、プラスチック製のストローは耐久性(耐水性)があり、加工がしやすく大量生産に向いていたためでした。

プラスチック製のストローは押出し成形で製造されています。

事例2 お弁当箱

弁当箱
金属製のお弁当箱

プラトレー
プラスチックトレー

お弁当箱というとプラスチック製のものをイメージする方が多いのではないでしょうか。
諸説ありますが、国内では平安時代や鎌倉時代からお弁当箱の原型が生まれています。
竹や杉などの日本古来からある材料から作られた容器が食べ物を持ち運ぶ道具として利用されていました。
安土桃山時代には漆器のお弁当箱が生まれ、その後昭和に入り金属製のお弁当箱が主流となりました。
金属製のお弁当箱は当時暖房器具として使用されていた石油ストーブの上でそのまま温められるという利点もあったようです。
では、いつごろからプラスチックのお弁当箱に切り替わったのでしょうか?
金属製のものに比べて、軽量で持ち運びが容易である点や量産に向いていたこともあり、1970年頃から利用が広がっていきました。また、当時普及し始めていた電子レンジへの適性があったことも、プラスチックへの転換の追い風になりました。

1990年頃からコンビニエンスストアが急激に増加し、お弁当の容器としてプラスチックトレーの利用も広がりました。

プラスチックの優れた性質

プラスチックに切り替わった理由は?

ストローとお弁当箱を例に、異素材からプラスチックに切り替わった理由について紹介しました。
石油化学産業の発展という時代背景に加え、プラスチックが持つ優れた性質により様々なプラスチック製品が誕生しました。
ここではプラスチックの優れた性質を紹介いたします。

・軽くて丈夫
・成形しやすく大量生産向き
・さびや腐食に強い
・透明性が高い
・加飾性に優れる(塗装・印刷・着色等)
・衛生的
・断熱性が高い

これらの優れた性質から、プラスチックは「魔法の素材」と呼ばれることもあります。

ありがとうございました!

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次回もお楽しみに!

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