教えて!ニックスのコーナーです。
突然ですが、みなさんは「ボウドン」という言葉を聞いたことがありますか?
漢字では「防曇」と表記し、文字の通り曇りを防止する、曇り止めのことです。
あまり聞きなじみがないかもしれませんが、メガネの曇り止めや浴室の鏡など、みなさんの生活の身近なところに使われています。
今回は「防曇」の役割やしくみについてご紹介いたします。
防曇とは
防曇とは曇りを防ぐ性質や機能を指します。
曇りが原因で視認性が悪化するのを防ぎたい製品に多く用いられています。
曇る原理とは?
そもそも曇りが発生する現象についてカンタンにご紹介します。
曇りは、冷たい飲み物が入ったコップや、冬の室内のガラスに水滴がつく結露と同じ仕組みです。
空気中にある水蒸気が冷やされ液化し、細かい水滴が表面に付着すると光が乱反射するため曇って見える原因となっています。
私たちニックスで扱う防曇製品としては、食品用の包装フィルムが多く、防曇効果が付加されたプラスチックフィルムのことを「防曇フィルム」、袋状にしたものを「防曇袋」と呼んでいます。¹⁾
スーパーで売られている野菜や果物といった青果物を入れているプラスチックの袋に防曇フィルムが採用されており、陳列棚での見栄えの向上や食品の品質維持に寄与しています。
ニンジンやきゅうり、レタスなどの袋に使われています。
冷蔵保存をしている青果物の場合、袋の中の温度より外の気温が低くなると曇ってしまい、購入者が鮮度や品質の確認がしにくくなってしまいます。
また、冷蔵保存をしていない場合でも、青果物の呼吸によって水分が外に出ることで袋の中に水滴がついてしまいます。水滴中では腐敗菌が増殖しやすく、内容物に触れてしまうと食品劣化の原因となる為、鮮度保持のためにも防曇フィルムが使用されています。
防曇の仕組み
防曇フィルムでは、親水性を良くすることで曇らないようにしています。
フィルムの親水性が良好であれば、空気中の水分はフィルム表面で水滴となりにくく(水分が表面に薄く均一に広がりやすく)なります。
つまり防曇の仕組みとは「水滴による光の乱反射を防ぐこと」と言えます。
一般的なフィルムと比較して、防曇フィルムの最大の特徴は、基材層に曇り止め効果のある防曇剤(添加剤)が入っていることです。
帯電防止剤などと一緒に防曇剤を練りこんでフィルムを生産しています。
基材層に練りこまれた防曇剤は、コロナ処理²⁾によって基材層から表面に出ることで、防曇の機能(親水性)が備わり、曇り止め効果のあるフィルムになります。
親水性と撥水性 用途の違い
曇り止めの方法として、親水性とは逆に撥水性を高くすることで水滴の付着を防ぐ方法もあります。
撥水加工を行った表面では、水が弾かれるため水滴の接地面積は小さくなり、水玉がコロコロと重みで落ちていきます。
そのため、水滴が直接触れる製品に用いられる場合が多いです。
撥水性の用途例:傘、レインコート、車など
防曇フィルムの使用用途
青果物
・きゅうり ・ニンジン ・ほうれん草 ・ブロッコリー ・カットスイカ(1/4、1/8など)・バナナ ・みかん
その他食品包装
・ちくわ ・のり(コンビニのおにぎり) ・まんじゅう
今回は防曇についてのご紹介でした。
ニックスでは1990年代以前からお客様へ防曇フィルムの提案を行ってきました。
防曇の歴史は古く、今回ご紹介したプラスチック以外にもカメラレンズなどの光学製品やガラス等、様々な製品に使われています。
ぜひみなさんも曇り止めの工夫がされている身近な製品を探してみてください!